水だけで足りている?熱中症予防に欠かせない“正しい水分補給”

気温が上がると、熱中症対策として「こまめな水分補給」が呼びかけられます。にもかかわらず『熱中症がゼロにならない』現状。つい先日も、4月にもかかわらず熱中症で搬送されたという報道がありました。
皆さん、水分補給に何を飲まれているのでしょう。
ペットボトル、マイボトルを携帯されている方を多くみかけるようになりました。
実は、“水だけ”の補給では不十分なことがあるのをご存じでしょうか?
汗とともに体から失われるのは水分だけではなく、体の機能を支えるミネラルも含まれているからです。
この記事では、正しい水分補給のために知っておきたい、電解質の重要性とその補い方、日常で注意できることについて解説します。
「水だけじゃダメ?」
水と一緒に摂るべきミネラル。
汗が口に入り「しょっぱい」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
汗にはナトリウムなどミネラルがいっしょに排出されています。なので、この排出されているミネラルも水分といっしょにとってあげなくてはなりません。
血液中の水分はある一定の濃度が保たれています。なので、水を一度に多量に飲むと、からだの中では『ん!!水がたくさん入ってきたぞ!!濃度が薄まっちゃう』と水分を排出する動きが生じます。体液の濃度を保とうとする結果、排出につながっているという状況です。水だけを飲み続けると、体の中のナトリウム濃度が薄まり、かえって具合が悪くなることも。「低ナトリウム血症」や「水あたり」といわれる症状です。
ナトリウムと同じく、マグネシウムやカリウムの排出にも注意が必要です。筋肉の働きや神経の伝達に関わる大切なミネラルなので、足がつりやすい人は要注意!
「スポーツドリンクが水分補給に適している理由」
スポーツドリンクや経口補水液との違い。
スポーツドリンクには糖質3~4%、塩分が0.1~0.2%含まれています。速やかに吸収される割合です。汗で真っ先に失われるナトリウムの補給ができます。運動している人は、活動時間、季節によって自分に合った水分補給が必要です。暑い中長時間運動をする人はスポーツドリンクをこまめにとる必要があります。スポーツドリンクを推奨する理由はからだに吸収されやすい濃度の糖質とナトリウムが含まれているため。なので、薄めて飲むと濃度が変わるので、薄めずにそのまま飲むようにしましょう。甘味が苦手という方は、スポーツドリンクを飲んだ後、口をすすぐ方法をお勧めします。
経口補水液も身近な飲料になりました。最近ではゼリー飲料もみかけます。
経口補水液はスポーツドリンクよりナトリウムとカリウムを多く含んでいます。
浸透圧は血液に近いので、スポーツドリンクよりも吸収速度が速いです。ナトリウムを多く含むので、常飲するのはおすすめしません。あくまでも、熱中症と思われる症状を発症した際の応急処置としての使用を推奨します。ちなみに、経口補水液を「おいしい」と感じる人はすでに症状を発症している傾向にあります。
「コーヒーやお茶って水分補給になるの?」
カフェイン入り飲料の水分補給効果について。
カフェインには利尿作用があります。コーヒーを飲んだ後、トイレへ行きたくなるのはその作用です。こちらも水分を補給したつもりが、排出を促しているという状況です。あくまでも嗜好飲料、食事をいただく際の水分として利用してください。
アルコールを嗜む人は更に注意
利尿作用による水分喪失について
アルコールを嗜む人は注意が必要
アルコールは抗利尿ホルモンを抑制し、通常よりも多くの尿を生成します。例えば、ビール1リットルを摂取すると1.1~1.2リットルの水分が尿として排出され、摂取量を上回る水分が失われます。この作用は特にビールで顕著だそうです。ビールを飲んだ後すぐに尿意をもよおすのはこの作用のようです。
代謝過程での水分消費
アルコールは肝臓で分解される際この過程で体内の水分が大量に消費されます。

ここでも水分が失われているのですね
水分吸収の阻害
アルコールと一緒に摂取した水分の吸収は遅れ、血液中の水分が優先的に排出されるため、脱水が加速します。さらに、カフェインを含む飲料と異なり、アルコールは純粋な水分補給効果がありません。 対策として、飲酒時は常温の水や白湯をこまめに摂取し、キュウリや枝豆など電解質を含む食品を併用することが推奨されます。
「のどが渇いてからじゃ遅い?」
体のサインや、こまめに飲む大切さ。
わたしたちのからだには、成人で体重の約60%の水分が含まれています。水分補給が足りているか、足りていないかは、尿の色で判断することも可能です。いつもより濃い色の尿だと水分がうまく補給できていないと判断します。これはトイレへ行く際に確認できますね。また、「今日はまだ1回しかトイレへ行っていなかった!」という経験はありませんか?尿量減少にも注意が必要です。また、体重の減少量も目安になります。体重の2%以上の水分が損失されると熱中症の危険が高まります。直ちに水分補給が必要です。先ほど、一気飲みはよくないと記述した通り、のどが渇いてから急いで水を一気飲みしても、排出が促されて十分な水分補給ができません。「のどが渇く前に飲む」ことが基本です。
「食べ物からの水分も侮れない」
私たちは食事からも水分を摂取しています。個人差はありますが、成人だと約1000mlの水分を食事から摂取しています。なので、朝食欠食をしている人はそれだけ水分摂取のチャンスを失っていることになります。同じ環境で活動をしていても熱中症になる、ならないは朝食欠食も大きく関わっています。
まとめ
水分補給には「何を飲むか」も大切です。暑い日には、水だけでなく、電解質も意識して摂取することが、脱水や熱中症の予防に繋がります。熱中症で急に倒れると頭をぶつけたり、ケガをすることもあります。これからの季節、特に注意して暑い夏をのり切りましょう!